【55歳からのハローライフ】村上龍 著
村上龍さんの、短編が5つ入った小説です🌱
どの話にもおいしそうな飲み物が出てくるので、このお茶ブログでも紹介したいなと思いました
…これはあとがきでも書評をみても皆さん思ってることで、
もちろん私もそう思っていたのですが
村上龍さんの以前出していた「13歳のハローワーク」のシニア版かな?
と思ってしまいますよね🌱
そんなことはなく(もちろん意識はしてそうですが)
こちらは小説となります🙆
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軽くあらすじなど
※ややネタバレになってしまうことがあるかと思いますので、
嫌な方は読了後にお願いします🙇
どのお話も、55歳前後の「普通の人」が主人公です
そんな普通の人々が途中不穏な感じになりながも、再出発するストーリーです
途中あんなに嫌な気持ちにさせられたのに、読後感があまり悪くないのは
最後に希望があるからなのでしょうか。笑
ハッピーエンドとまでは言えないですが、救いがある最後な気がしました。
ただ、再出発はできたけどこの先幸せが待っているかはわからないよねというか、、
とにかく現実をうけとめて前向きに生きることが大切、というのでしょうか
そんな気持ちになれる一冊だと思いました🌱
おいしそうな飲み物の話
この小説には、意図的だと思うのですが
それぞれの話に「飲み物」が関わってきます☕️🍵
本筋にはそこまで関係なかったりもしますが、うまい具合に軸になっている感じです。
そしてその描写がとても美味しそうなので、
同じものを飲みながら読むともっと楽しめると思います!🌱
54歳で離婚した主婦と蜂蜜入りアールグレイ
同じものが飲みたい!と絶対なりますこれは
こちらの主婦は、離婚したもののおひとりさま生活を楽しんでおり
朝にアールグレイを飲み、
夜はアールグレイにブランデーを入れて飲み、
毎日アールグレイを楽しんでいます
深い香りと、かすかな苦味を含んだ優しい味に、
すさんだ気持ちが溶けていくような気分を味わった
カップから独特の香りが漂ってくる。
香りづけに使われているベルガモットという柑橘系の匂いだった。
ゆずに似た渋みの隙間から、すり抜けるようにかすかな甘酸っぱさが立ち上がってきて、
香りが見え隠れするようだと思う。
そんな繊細さが好きだった。
香りづけしてあるので、ホットで飲むときにはあまり濃くならないようにする。
このお店のアールグレイは、香りも味もいつも完璧だった。
など、自分も手元にアールグレイを置いて香りや味を確かめながら飲みたくなる描写がたくさん🌱
そして、この主人公が贔屓にしている喫茶店で、
アールグレイに蜂蜜を垂らすと、こころを落ち着かせてくれる効果があると教えてもらいます🐝
テレビで自殺のニュースに接するたびに、
どれだけ辛いことがあったかわからないが、この人は、何か好きな飲み物をゆっくりと飲むと気分が落ち着くことを知っていただろうか、そう思ったりした
主人公は、心が揺れることがあっても、蜂蜜入りアールグレイで持ち直します。
読んでいるこちらも、この人はアールグレイの香りで胸をいっぱいにすればこの人は大丈夫だろう、とつい思ってしまいます☕️
ホームレスになった中学時代の同級生とおいしい水
この話にも飲み物は関わっていますが、「水」なのでお茶ブログとしては割愛…
しかし「人生でもっとも恐ろしいことはなにか?」という話を同僚たちとしたエピソードが心に残りました。
自分が死ぬこと、大切な人が死ぬこと、そして
死ぬことと完全に別人になってしまうことはどっちのほうが恐ろしいんだろうという話があり、
ちょっと考えさせられました📕
早期退職したものの再就職に苦労するサラリーマンとコーヒー
こちらに出てくる飲み物は「コーヒー」なのでお茶ブログ的に割愛🤔
しかし、全5話中いちばん心が抉られたかも…
大手の会社を早期退職し、会社という肩書きがなくなったとたん世間の目は変わってしまうんですよね、つらい、、
夫よりも大切なペットを失った女性とプーアール茶
信じられないほど複雑な味の皇帝プーアル茶を飲むことができた。
友人のパーティで飲んだ皇帝プーアル茶がとてもおいしく、主人公もプーアル茶が大好きになります。
主人公は皇帝プーアルほどの高級品は買えませんが、
横浜中華街でかった十年ものの熟茶を買うこだわりがあり、
犬の散歩仲間にふるまったりしています🌱
その散歩仲間が、「お茶はいいですよ」と言った後の言葉が印象的でした
「ほら、よくテレビドラマとか映画とかで、パニックというか、
あまりに悲しかったり、苦しかったりして、自分を失いそうになった人に、
深呼吸しなさいとか言って、水を飲ませるでしょう。
何かね、心が揺れて、自分自身を失っているときって、お茶を楽しむ余裕がないんですよね。
ぼくは、だからお茶っていうか、飲み物は、単に水分を補給するだけじゃなくて、
もっと意味があるんだと思うんですね。
悲しいことや苦しいことがあるときに、
ゆっくりとお茶を飲んで救われることって、多いと思うなぁ」
ストーリーとしては「信頼とはなにか」というのを軸にペットの死などを乗り越えます。
ペットを飼っている人にはやや辛い話かもしれません…
ですがやはり、お茶をのんでまず気持ちを落ち着かせる、それが出発点だ、と私も思いました🌱
トラックドライバーの老いらくの恋と日本茶
狭山の新茶は、舌で転がすと、
渋みのあとでかすかな甘みが感じられて、とてもおいしい
主人公は幼い時世話になった祖母の影響で日本茶が大好きで、
1人で暮らしている今もスーパーで買った日本茶を毎日楽しんでいます😊
普段は番茶で、懐に余裕があるときは新茶や玉露を飲んでいるとのこと
こちらもお茶の味わいの描写が丁寧で、こちらも新茶片手に読み進めたくなりますね〜🍵
そしてこの後登場する美魔女っぽい女性は、喫茶店で
「パラダイストロピカルアイスティ」を毎回頼みます
これは一体どんなやつなんでしょう…😆
個人的には、カルディに売っている「パラダイストロピカルティ」のイメージで読みました📕
↑のカルディのやつは、マリーゴールド、ローズ、コーンフラワー、サフラワーの4種類のハーブがはいった無糖の紅茶です😆おいしいですよ
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UCCからも似たようなものが出てるみたいです😆
ストーリー自体は、、なんというか
うまくいかないもんですね…という感じで…
ですが、着地点はとってもいいなと思いました🌱
まとめ
飲み物、特に5話中3話がお茶関係だったのでこのブログでも取り上げました🙇
これは本文にでてきた描写なのですが、
精神的に不安になった時、
まず飲み物をゆっくりと味わうことができれば、どんな人でも気持ちが鎮まるはずだ
それは儀式のようなもので、しかも誰かに頼る必要もない
1話目の蜂蜜入りアールグレイの話の時にも思いましたが、
気持ちが落ちた時のルーティーンというか、お決まりの飲み物だとか
そういうものがあると強いなと思います。
そして飲み物には落ち着かせる効果があるので、そのルーティーンを飲み物にするのは
かなり理にかなっていると思います。
私は色々な飲み物を飲みまくっているので、
朝はこれ!とか寝る前はこれ!凹んでいるときはこれ!みたいなのがあまりないのですが、
これからは「このお茶、どんな時に飲むのがいいだろう?」とちょっと考えながら飲もうと思ったりしました😊
そしてあとがきでは、
どの話にも身につまされる場面が出てくる。そのたびに、自分はまだ大丈夫だ、彼ほど身勝手でもないとか小説の中の人物と自分を比べている。思い当たる節があるから、言い訳するのだ。
いやもう本当その通りで、
主人公たちは本当に「普通の人」で
とんでもない大事件に巻き込まれるとかではないんですよね
私も色々自分と重ね合わせたりして考えさせられました。
定年や老後からは逃げられないし、いかに色々つみかさねていくかが大事
(お金もそうだし、信頼とかもそう)
NHKでドラマ化もしてたらしいので、機会があればそちらもみてみようかなと思っています。
皆様も飲み物片手にぜひ読んでみてください🌱
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ではみなさんも良いTeatimeを🌱
It’s Always Tea Time!☕️
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